昔の話だけど。
高校の時から、ずっと空手をやっていた。
フルコンタクト空手で、ガンガン打ちあう流派で、毎日傷だらけになりながら頑張っていた。
それで、高校を卒業して、札幌に引っ越すことになったんだけど、
全国規模で大きい流派だったんだけど、たまたまその時の支部長が仕事が忙しくて、
支部がなくなっていた。
でも自分は続けたいので、当時の地元の師範代に相談すると、
「悩むことないだろ。お前がやれ」
の一言。
一瞬で、空手の支部を任されることになった。
最初は、道場もなく。当然道場生も全くいない。
そんな状態。
いろんな雑誌にお願いして、道場生を集め。
一人で練習して、ウェイトして、基本稽古、移動稽古。マススパーリング(シャドー)をやる毎日。
なんか、とても空しい感じだった。
だけど、しばらくすると、一人、また一人。と集まってきた。
ちょうど格闘技ブームが始まったころだったのだ。
前田日明がリングスをやっていたり、異種格闘技の交流がはじまった時代。
正道会館がK-1をはじめたころだった。
ちょうど、うちの流派には、日本最強と呼ばれていた人がいたので、
話題もあり、道場生もかなり多く集まっていた。
そんなこもあり、1-2年かながんばっていた。
けれど、その時は、体育館を間借りしてやっていたので、北広島の体育館だったり、白石体育館だったり、学校開放だったり。
毎回場所が違う。練習先。
どうにか常設道場がほしいなー。
そう思ってたときだった。
ある日の道場の帰り、雪の日だった。
自分は北広島に住んでいたので、大曲を車で走っていたら、
セブンイレブンのある交差点の前で、後から追突された。
正直車も壊れたし、モノとかも壊れたんだけど、その時に自分は居眠り運転の事故ばっかり起こしてたので、
「かわいそうだなー」って被害者なのに。思ってた。
で、相手の車はボンゴかなんかのボロボロのワンボックス。
たぶんお金ない貧乏人だ。と思ったおれは。
「大丈夫ですか?大変ですよね」といって、警察が来るのまでに缶コーヒーのあったかいのを買ってきて渡して話していた。
そして、警察がきてから物損の現場検証をして、お互いの話を説明。
俺は「空手の帰りです」という話をして、相手の番になったら、相手は「家のセルシオに免許がある」「自分は社長だ」とかいってるので、
あー、ウソつきなのかな。
と思ってた。
そうして、連絡先を交換し、別れる時。「ぜひ明日家にきてほしい」とのこと。
わかりました。といってみたものの。住所はどう見ても「パチンコ屋さん」
当時のパチンコは正直いまより黒いというかグレーな印象でしかなかったので、
かなり緊張のビビリまくりで、友達といっしょにいくことになった。
そして、友達と訪問した。
すると、相手は朝鮮系の方でパチンコ屋さんのチェーンの社長。
家は大理石張りで豪華絢爛。
しかも、偶然っていうのはすごい。東京でたまたま同じ流派で空手をやっていたのだ。
すっかり意気投合した自分は、空手の事。道場のこと。
などなどいろいろな話を一生懸命に説明した。
すると、「うちのビル使いませんか?」
という話。
琴似の駅前にパチンコ屋があり、その地下のスペースを使っていいとのこと。
突然の出来事にびっくり。
運命なんだろうな。と考えつつ。ありがたく話をいただき、
道場を開設した。北海道本部として。
その後自分は空手をやめてしまったし、東京の本部から指導員の方も来ていただいた。
本当に出会いって不思議だと思う。
ただの事故の確率だって低いのに、同じ流派で空手やっていて、たまたま良くしてくれたことに感動したといってくれた。
縁ってすごいものだと思う。
思い出すと、うれしくなる。あの日の出会いが
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